HoLEP

前立腺肥大症の最新治療:HoLEP(ホーレップ)

HoLEP(ホーレップ)は、前立腺肥大症に対する、体への負担が少なく確実に排尿を改善させる手術です。


図に記したように、細いカメラ(内視鏡)を尿道から挿入し、レーザーを用いて肥大した前立腺の内腺部分をくり抜くように除去し、膀胱内へ移動させます。その後、くりぬいた前立腺を専用の機械で細かくして体外へ回収します。この手術では、組織の病理検査も同時に行えるため、がんの見落としもありません。手術は、麻酔科の医師の管理下で行われ苦痛もありません。


HoLEP(ホーレップ)は2002年に日本に導入された手術で、当院では2011年から積極的に取り組み2022年までに600件近くの手術を行いました。この手術の後に一時的な尿漏れが多いと報告されていますが、当院においては、担当医師がHoLEP(ホーレップ)の専門病院での研修を経て身に着けた技術により、ほとんどが手術後数日で尿道カテーテルを抜いた時から尿漏れが見られません。少数ですが、尿漏れが見られた患者さんも早期にその症状は改善されています。

 

 

HoLEP治療の手順

 

 

 

 

  • 入院期間は一週間程度です
  • ご高齢の方も手術可能です。手術を受ける患者さんの平均年齢は74才(53才〜98才)で、80歳以上の方が20%を占めています
  • 前立腺の切除重量は平均24g(3gから134g)、従来開腹手術で行われていた切除重量100グラムを超えるような大きなものにも適応しています
  • 脳梗塞、不整脈、狭心症などの既往があり、血液をサラサラにする薬を服用している患者さんの場合、処方した医師と連絡を取り安全な休薬期間の設定などしたうえで手術を行います
  • これまで350例を超えるこの手術で膀胱穿孔や関連死など重大な合併症の発生はなく、輸血をした症例もありません
  • 術後は、最大尿流量率(一秒間に排出する尿の量)や膀胱に残る尿の量(残尿)ともに大幅に改善されます
  • HoLEP(ホーレップ)は保険適応になっておりますので、外来窓口でご相談ください

 

 

論文

1. 石川隆太(筆頭)ほか:
HoLEP:エネルギーの違いにおける臨床成績の比較(78W vs 100w)
 :Japanese Journal of Endourology. 2011;24(1):136-14 1.

2. 石川隆太(筆頭)ほか:
前立腺肥大症患者に対する経尿道的前立腺核出術(HoLEP)におけるモーセレーション効率と核出重量に関する検討
 :日本泌尿器科学会雑誌.2011; 102(5): 675-678.

3. 石川隆太(筆頭)ほか:
HoLEP(Holmium Laser Enucleation of the prostate)における性機能と射精機能の変化
:泌尿器科紀要. 2014; 60(6): 263-267.

4. 設楽敏也、石川隆太(連名)ほか: 前立腺肥大症に対するレーザー手術と術後射精障害
 :泌尿器外科. 2013; 26(9): 1379-1384.

 

 

学会発表

石川隆太(筆頭)ほか

1. 第24 回日本泌尿器内視鏡学会2010 年10 月23 日
HoLEP:エネルギーの違いにおける臨床成績の比較(78W vs 100W)

2. 第99回日本泌尿器科学会総会2011 年4月23 日
経尿道的前立腺核出術(HoLEP) におけるモーセレーション効率と核出重量に関する検討

3. 第101 回日本泌尿器科学会総会2013 年4月25 日
HoLEP における性機能と射精の変化に関する検討

4. 第102 回日本泌尿器科学会総会2014年4月16 日
当院のHoLEP における偶発癌の臨床的検討:辺縁領域に対する追加切除(TUR) の試み