前立腺肥大症と当院の対応(概略)
男性の加齢とともに多く見られる前立腺肥大症では、おしっこが出にくい、近い、残っている感じがするなど様々な症状が見られます。
当院での治療は、薬を飲んで症状の改善をはかり、十分な改善が認められないときに手術による治療を行います。
当院で行うHoLEP(ホーレップ)という手術法は、体への負担が少なく再発も少ないものです。
また、当院での手術の特徴として、術後1~3割で見られる一時的な尿漏れを少なくする方法を取入れ、手術を受けた患者様に非常に喜ばれています。
前立腺肥大症について
男性特有の前立腺は、クルミくらいの大きさの臓器で、膀胱の出口に尿道を包むようにあります。
前立腺肥大症とは、加齢とともに肥大した前立腺が尿道を圧迫し、膀胱の出口が狭くなり起こるもので、次のような症状が出る状態をいいます。
治療について
治療の最初の段階は、薬を飲んでおしっこが楽にできるよう、症状の緩和をはかります。
患者さんの前立腺の大きさ、年齢、合併症、併用薬などにより、どの薬剤が適切か検討します。
代表的なお薬は次のようなものです。
上記のお薬でおしっこが出やすくなると、おしっこが近い、残っている感じがする、おしっこを我慢できない、などの多様な症状にも改善が見られます。
薬を飲んでも十分な治療効果が見られないときは、手術による治療を行います。
当院で行うHoLEP(ホーレップ)という手術は、細い内視鏡を尿道から挿入し、肥大した前立腺の内腺と呼ばれる部分をレーザーメスでくりぬいて除去し、おしっこの通りをよくする手術です。
従来の電気メスで前立腺を削る手術より、出血が少なく体への負担が少ないこと、大きな前立腺でも確実に除去でき再発が少ないなどの利点があります。
(※正常の前立腺と肥大した前立腺)
HoLEP(ホーレップ)と術後に起こる尿失禁の改善
HoLEP(ホーレップ)は、前立腺肥大症に対する、体への負担が少なく確実に排尿を改善させる手術です。
図に記したように、細いカメラ(内視鏡)を尿道から挿入し、レーザーを用いて肥大した前立腺の内腺部分をくり抜くように除去し、膀胱内へ移動させます。
その後、くりぬいた前立腺を専用の機械で細かくして体外へ回収します。
この手術では、組織の病理検査も同時に行えるため、がんの見落としもありません。
手術は、麻酔科の医師の管理下で行われ苦痛もありません。
HoLEP(ホーレップ)は2002年に日本に導入された手術で、当院では2011年から積極的に取り組み2022年までに600件近くの手術を行いました。
この手術の後に一時的な尿漏れが多いと報告されていますが、当院においては、担当医師がHoLEP(ホーレップ)の専門病院での研修を経て身に着けた技術により、ほとんどが手術後数日で尿道カテーテルを抜いた時から尿漏れが見られません。
少数ですが、尿漏れが見られた患者さんも早期にその症状は改善されています。
※HoLEP治療の手順
前立腺肥大症の内視鏡写真
当院のHoLEPについて
HoLEPに関する研究論文等
【論文】
1. 石川隆太(筆頭)ほか:
HoLEP:エネルギーの違いにおける臨床成績の比較(78W vs 100w)
:Japanese Journal of Endourology. 2011;24(1):136-14 1.
2. 石川隆太(筆頭)ほか:
前立腺肥大症患者に対する経尿道的前立腺核出術(HoLEP)におけるモーセレーション効率と核出重量に関する検討
:日本泌尿器科学会雑誌.2011; 102(5): 675-678.
3. 石川隆太(筆頭)ほか:
HoLEP(Holmium Laser Enucleation of the prostate)における性機能と射精機能の変化
:泌尿器科紀要. 2014; 60(6): 263-267.
4. 設楽敏也、石川隆太(連名)ほか: 前立腺肥大症に対するレーザー手術と術後射精障害
:泌尿器外科. 2013; 26(9): 1379-1384.
【学会発表】
石川隆太(筆頭)ほか
1. 第24 回日本泌尿器内視鏡学会2010 年10 月23 日
HoLEP:エネルギーの違いにおける臨床成績の比較(78W vs 100W)
2. 第99回日本泌尿器科学会総会2011 年4月23 日
経尿道的前立腺核出術(HoLEP) におけるモーセレーション効率と核出重量に関する検討
3. 第101 回日本泌尿器科学会総会2013 年4月25 日
HoLEP における性機能と射精の変化に関する検討
4. 第102 回日本泌尿器科学会総会2014年4月16 日
当院のHoLEP における偶発癌の臨床的検討:辺縁領域に対する追加切除(TUR) の試み
尿路結石症の症状について
尿路結石症は腎臓でできた結石が尿路につまって尿の流れが悪くなる病気です。
泌尿器科において最も頻度の高い病気の一つです。
典型的な症状は激しい疼痛と血尿です。
時に尿路感染をおこし高熱の出る方もいます。
結石の場所によって以下の3つに分けられ、症状に違いがあります。
治療について
治療は、まず痛みをとり、保存的治療または外科的治療により結石を排出させます(以下1~3)。
再発しやすい病気であるため、治療後も水分補給を欠かさずに、バランスのよい食事と規則正しい食生活を続けることが大切です。
また定期的に検診をうけることも大切です。
(※尿路結石症の部位)
(※尿管結石 5mm)
透析患者について
「慢性腎臓病」や「血液透析」という言葉はなじみの薄い難しい言葉ですが、現在日本では約500万人の慢性腎臓病の方がおり、そのうち24万人の方が末期慢性腎不全となり血液透析(人工透析)という治療を受けています。
慢性腎臓病とは
慢性腎臓病とは、さまざまな原因でタンパク尿や血尿が出るようになったり、腎臓の働きがおちたりするなどの、腎臓の病気全体をさす言葉です。
その原因としては糖尿病(糖尿病性腎症)、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、多発性のう胞腎、膠原病などたくさんの病気があります。
そして慢性腎臓病が長期にわたり徐々に悪化し、体内の老廃物を腎臓から尿として排泄できなくなると末期慢性腎不全と呼ばれる状態となり、人工的に老廃物を取り除く必要が出てきます。
末期慢性腎不全に対する治療法には腎臓移植、血液透析、腹膜透析などがありますが、日本では多くの患者様が血液透析を受けています。
血液透析とは
血液透析(人工透析)とは、体内の老廃物を腎臓から排泄する代わりに、透析器と呼ばれる装置を用いて、血液中から老廃物をろ過して取り除き血液をきれいにする治療法です。
通常は、通院により1回4時間程度の血液透析を週3回受けることが多く、それ以外の時間の制約はありません。
ただし、24時間働いていた腎臓の代わりをわずか数時間の治療で100%代行できるわけではありませんので、特に食事については十分な注意が必要となります。
当院の血液透析の特徴
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
泌尿器科 | 9:30~12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
13:30~17:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ─ |
【休診日】
日曜日・祝祭日及び、年末年始【ご注意事項】
※腎臓内科は、予約制です。© 2024 SHINWAKAI Ishikawa Urology. Nephrology.