膀胱がんは、泌尿器のがんの中では発症頻度が高く、患者数は人口10万人あたり約17人と言われています。50歳以上の男性に多く(男性は女性の約3倍)、喫煙者は非喫煙者の3〜4倍も発症率が高いと言われています。
痛みを伴わない血尿が特徴的な症状で、80%以上にみられます。そのような症状が一度でもあったら、放置しないで早めに泌尿器科を受診することが大切です。また血尿がなくても、尿の潜血反応が陽性の場合には、稀に膀胱がんがみつかることがあるため泌尿器科の受診をお勧めします。
膀胱がんは表在性と浸潤性の2種類に大きく分けられます。
- 表在性膀胱がん
膀胱壁の表面(粘膜下層まで)にとどまるがんで、約70%はこのタイプです。多発しやすく、また再発しやすいがんですが、悪性度は低いので予後は良好です。 - 浸潤性膀胱がん
悪性度が高く、膀胱壁の深くまで浸潤するタイプです。進行すると転移しやすいがんです。
膀胱がんがみつかった場合は、通常であれば、まず診断と治療を兼ねて経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT:尿道から細いカメラを入れて、先端から電気のメスを出して腫瘍を削る)を行い、顕微鏡検査(病理検査)でがんの状態を診断します。当院では麻酔科医の協力を得て安全かつ苦痛の少ない手術を行っております。
また腫瘍を切除する電気メスは、バイポーラという最新の機器を使用しており、より正確な切除が可能で、体にも優しいという特徴があります。さらに内視鏡の画像はハイビジョンの高画質に加え、NBI(Narrow Band Imaging)という光学的な画像強調テクノロジー(特殊な光を使って腫瘍を見えやすくする技術)を利用して小さな腫瘍の見落としをなくし正確な腫瘍切除をできるように工夫しています。
図 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)
