背中が痛い場合(片側の腰背部〜脇腹のことが多い)、泌尿器科では以下のような病気が考えられます。整形外科の腰痛や内科の内臓系の病気(胆嚢、膵臓、大腸)との鑑別が必要です。
- 腎結石と尿管結石
- 腎盂腎炎
- 腎がん
泌尿器科で最も頻度の高い病気の一つです。
腎結石とは、尿に含まれているカルシウム・シュウ酸・尿酸などが結晶となり、腎臓内の尿の通り道に沈着して増大したものです。多くは無症状ですが、検診(エコーの異常・尿の潜血反応陽性)や、時に背部の鈍痛・血尿などの症状で発見されます。
尿管結石とは、腎結石が尿管に落ちたものをいい、症状として背中から脇腹にかけての激しい痛みや血尿などがでます。吐き気、嘔吐、冷や汗などを伴うこともあります。高熱がある場合は尿路感染症があり敗血症となる危険性もあるため注意が必要です。
結石の原因は、体質も考えられますが、不規則・不摂生な食生活、肥満、高血圧、飲水不足、副甲状腺の病気などがあげられます。診断については、エコー・X線写真・CTなどの検査で結石が同定されれば確定診断となります。
治療は、まず痛みをとり、保存的治療または外科的治療により結石を排出させます(以下1〜3)。
- 痛みの除去
非ステロイド系抗炎症薬(座薬、内服)、鎮痛鎮痙剤 - 保存的治療
長径5mm以下の結石は自然排石する可能性が高いので、十分な水分摂取と排石促進薬にて経過観察します。 - 外科的治療
- 内視鏡手術
尿道から細い内視鏡を挿入して、結石をレーザーで砕きます。当院では低被曝のレントゲン台を使用し、麻酔専門医の協力も得て、安全で苦痛の少ない手術ができる環境を整えています。 - 体外衝撃波砕石術(ESWL)
体外から尿路にある結石に衝撃波をあてて砕石します。
- 内視鏡手術
再発しやすい病気であるため、治療後も水分補給を欠かさずに、バランスのよい食事と規則正しい食生活を続けることが大切です。また定期的に検診をうけることも大切です。
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尿管結石
腎盂腎炎とは、腎臓に細菌が入り込み炎症を起こした状態をいいます。
症状は、片側の腰背部痛と高熱です。膀胱炎が原因の場合は排尿痛も伴います。
原因としては、単純性膀胱炎がこじれて腎盂腎炎を発症することが多いといわれており、治療は多くの場合、抗生剤投与で改善します。しかし排尿障害や尿管結石、膀胱尿管逆流症、水腎症などの病気が原因となっていることもあり、その場合は原因の解除も合わせて治療を行う必要があります。腎盂腎炎を繰り返す場合は、腎機能が低下してしまうので、しっかりと原因も調べながら治療をする事が必要です。
腎がんは、初期の頃は症状がなく、検診で発見されることが増えています。
進行すると血尿・腰背部の痛み・腹部腫脹・発熱等の症状が出てきます。
治療は抗がん剤が無効であり、手術で患部を摘出することが最も有効です。薬物治療(インターフェロンや分子標的治療薬)をする場合もあります。